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ロロの空想

心に移りゆくよしなしごとを書いていくよ!

【ネタバレ感想・批判】ポッピンQは素晴らしい映像技術、だが尺が短すぎた。

映画 アニメ

 (2017年1月6日 改編・追記)

2016年12月23日、天皇誕生日の祝日。ポッピンQの公開日だったので観てきました。ネタバレを含めてここに感想を書いていくことにします。

・前置き
 この記事を書いているのは、小さな女児ではなくて、大きなお友達です。子連れで観に行ったとかいうわけではありません。したがって、この記事は、大きなお友達からポッピンQを観た感想です。以下、いくつかの項目別に感想を述べていきます。なお、結構批判や文句を述べています。なお、口調は「である調」に変わります。

・CG
 背景が非常に素晴らしかった。時の塔?あたりの歯車のグラフィックなんかが特に素晴らしかった。VISUALIZATIONの効果によるホログラフィー的なCGもかっこよかったのだが、CGっぽいCGっぽいではなく、手書きとの融合を意識したカートゥーンレンダリングの技術もまた目を見張るものがあった。いすみが異世界に来たときに立っていた塔のシーンなんかは、あの少し風化した感じを出すためのテクスチャとレンダリングが素晴らしい。
 また、キャラクターモデリングも、敵も味方もうまく馴染むように良く出来てるし、見た目も愛らしく、動きが手書きとうまく溶け込むように作ってある。ほんとうに素晴らしい。

・作画
 やはりきれい。キャラクターはCGのシーンが多かったが、手書きのときも動きがよかった。簡単に形容すれば、美麗だった。
 しかし、いすみたちが自分の過去を語るときのシーンでは、表情の変化に乏しかった。あそこはもっと表情を暗くしたほうがよかった。そこでのメリハリの物足りなさを感じた。声のトーンももう少し落としたり震えさせたりして、アップで手を握りしめるカットを入れたり、目を写さずに口だけが動くカットとか、逆に片目だけがアップで映るカットとか、画面が滲むようなカットとか、そういったものがあったほうがよかったと思ったが、これはおそらく作画ではなくて演出の話になる。

・アニメーション
 CGダンスの野暮ったさがあまりなかった。素晴らしい。ラブライブ!のCGダンスでは、どことなくCGっぽい野暮ったさが残っていたものだが、ポッピンQでは、モーションの付け方(ボーン制御)や表情の変化、ダンスに付随して動く服の演出など、素晴らしかったように思う。
 また、CG以外のアニメーションに関しては、あさひの戦闘が、ちゃんと合気道と柔道の融合になっている点が非常に素晴らしかった。感動した。はじめの戦闘シーンでは、柔道の背負投げから始まり、四方投げ、サンキョウ?、入り身投げ小手返しとかもやってたっけ?、まあそういった、実際の武道の技がちゃんと描かれていた。合気道と柔道をやっているおかげか、柔道の投技をするときも、相手の勢いを使うという合気道らしい戦法をとっていた。こういったところで、設定に忠実なのは素晴らしい。

・音楽
 J-POPっぽいEDMだった気がする。逆に言えばEDMっぽいJ-POP。個人的な要望を出すなら、もう少しお洒落であってほしかった。曲単体で売っていけるくらいの。今回の曲は、曲単体で売っていくにはすこし難しいのではないか。
 たとえば、「ラブライブ!」や「アナと雪の女王」は、音楽を中心に据えているだけあって、音楽だけのCDが結構売れた。
 ポッピンQも、ダンスを中心にしている以上、曲単体で勝負できるようなものが欲しかったというのが率直な感想である。
 いくつか曲があった(?)割には、曲の雰囲気がどれも似ていた。バリエーションが少ない。もう少しバリエーションを増やして、それぞれお洒落な曲にしてもよかったのではないか?ラテン系にしたり、アイリッシュ系にしてみたり、完全にEDM系にしてみたり、完全にJ-POPにしてみたり。それに合わせたダンスの振り付けを考えたり。色々方策はあったのではないだろうか。EDMとJ-POPの間という、少し中途半端な感じがあった。
 ストーリーの都合上、曲は増やせないのは仕方ないのかもしれないが、それならバリエーションが無い代わりに中毒性があればよかったのだが、特別中毒性があるような曲というわけでもなかった。
 あくまで、曲は個人の感性による部分が多いが、曲のジャンルを絞ってくれるか、リズムにこだわってくれるかしたほうがよかったと思う。よくも悪くも大衆向けだったように思う。
 AKB系アイドルソングみたいな曲だったように思うが、ダンスの振付を見るに、けっこう激しい振り付けだったので、AKB系の曲や星野源の恋ダンスのような曲よりは、EXILEとかE-Girls系の曲がよかったのではないだろうか?あるいはK-POPみたいな曲であるとか。個人的には、Chris Brownみたいな洋楽っぽくてもよかったと思う。とりあえず、ダンスの振り付けと曲の選択が、あまりあっていなかった気がする。曲をもう少しダンスミュージックに近づけるか、振り付けをもう少しおとなしくしてもよかったのではないか?
 ただ、この記事を書いている時点で、記憶が曖昧になっている気もするので、もう一度観たらまた違う感想を抱くかもしれない。

・配役
 同位体はもっと声が高く、幼い方が良い。例えば、「人類は衰退しました」の妖精さんくらい。続編を作ったときの配役の都合だろうか…?続編では同位体が普通の人間サイズになるみたいだし…。
 ここからは、完全に個人的な趣味な話になるので読み流して貰えばよいのだが、サキの声は、林原めぐみさんがよかったと思う。物静かで特別な事情を抱えているキャラは林原めぐみさんだと相場が決まっている。綾波しかり、灰原しかり。しかし、そうすると、声優の年齢層が統一されないということになるので、結局、黒沢ともよさんでよかったのだろう。
 黒サキはすごくよかった。演技も最高だった。でも黒サキもよかったのだけれど、斎藤千和さんの声は、黒サキではなくてあおいに当ててほしかったというのが個人的な感想である。あおいがクールな感じで振る舞っている序盤のシーンを、物語シリーズの戦場ヶ原のように演じてほしかった。とはいえ、斎藤千和さんは、主役たちの声優よりは一回り年齢が上なので、それも考えての配役かもしれない。
 あさひは豊田萌絵さんもしくは水瀬いのりさんくらいがよかったと個人的には思う。要するにもう少し幼い女の子の声がよかったということである。小さい見た目を反映した声だとなおよいということである。

 と、このように声優の配役についてあれこれ言っても、実際は、声優の年齢やらギャラやら、その他色々な事情があるだろうし、希望があったからといって通らないだろう。むしろ、若い人たちばかりで主人公たちを固められたのはよかったかもしれない。

 ちなみに、小野大輔さんの声が、普段と違って小野Dっぽさがないように感じたけど、方言でもやっぱりいい声だなーっと感心した。地元らしいしね。

 

・SE

  ポコンの歩く音が、お腹が空いてぐぅぐぅなってるみたいな音だったのだけど、もう少し可愛くできなかったのだろうか…。上映中、自分のお腹がなってしまったのか、と思ったらポコンの歩行音だったので笑ってしまった。

 

・キャラクター
 キャラクターのタイプとそのキャラクターの成長の進路は、以下のようなものが定番だと私は思う。
 馬鹿元気なタイプ。→自分の馬鹿さを振り返り、そのハチャメチャさでいいことをする。
 内気なメガネタイプ。→内気さを克服する。
 女の子っぽさを追求するタイプ。→マスコットとして華を添える。
クールだけど感情が弱いタイプ。→感情を獲得する。
 心に闇を抱えるぼっちタイプ。→心を開いて、すごく優しくなる。

ポッピンQでは、これにしたがうように、

 いすみ→さきを救う。
 こなつ→???
 あさひ→かわいい。
 あおい→寂しさを認める。
 さき→いすみを助ける。

といった風に、だいたいが定番に乗っ取ったキャラ作りがしてあった。

また、キャラクターごとの配色も目立ってよかった。この配色は、「おジャ魔女どれみ」を思い出す。「どれみ」のはづきと「ポッピンQ」のこなつってそっくりじゃん…。

 他のキャラに関しては、
サキの同位体のルピィが「金色のガッシュ!!」のキャンチョメに似てる。
長老の登場シーンは誰もが「オーキド博士!!」って思うだろう。


・脚本・演出
 非常に、対比やシンボルがわかりやすく作られていた。
 例えば、ストーリーの王道として、
登場人物が悩みや葛藤を抱えている。
→事件orイベントの発生
→事件の解決とともに、自分が抱えていた悩みや葛藤も乗り越えて成長する。
というものが知られているが、この構造がわかりやすく描かれていた。
 また、「職務の遂行に殉ずるポッピン族」と「その運命に抗おうとする黒サキの同位体」という対立も描かれていたのが、物語に多層性を生み出していた。他、黒サキが武器に時計の針を使っていることなども、時間に囚われたキャラクターの武器としてはいいシンボルだった。

 一方で、話をスリムにしすぎてストーリーに深みがなかった。あと、ストーリーの外連味が足りなかったと思う。
 また、話を強引に進めている感があった。1時間30分で収めるには無理があったのではないだろうか?本来、このストーリーからするにTVバージョンの12話編成でやったほうがよい話である。そうすれば、もう少しストーリーを足したり、自然なストーリー進行にすることもできたのではないだろうか?話を強引に進めるために、ご都合主義な展開が多かったように思える。

 ストーリーのモチーフとしては、異世界転生系、かつセカイ系である。流行りのラノベっぽい。しかし、これは否定的な意味ではなくて、それをニチアサっぽい話に落とし込んでいたのがよかった。

 さて、ストーリーの深みについて―。
 さきの心の闇の理由がもう少し深く、重くあるべきだった。「消えてしまいたい」と壁中に書きまくるくらいなので、それに対応するくらいの大きな理由、例えば、「母に捨てられた。」「父に虐待を受けた。」「誘拐・監禁された上、両親を殺された。」結果のPTSDとしての心の闇、くらいにしてほしかった。予告のときに想像していた以上に悩みが小さかった。
 いすみの過去にしても、「大会でライバルに負けた。それを認めたくなくて嘘をついた。」というものであるが、予告の段階では、事故か何かで足が動かなくなった。もう治る見込みはない。くらいのものかと思っていた。
 こういったように、悩みや葛藤が少し小さかった。たしかに、現実に同じような目に合えば、それはかなり苦しいのだろうが、壮大なストーリーに対しては、悩みや葛藤の「外連味」が足りなかったように思う。対象年齢がそんなに高くはないから、その、「小さな悩み」のほうがリアルで、そちらのほうが妥当性はあるのかもしれない。しかし、世界を救う、魔法のような特殊能力が使えるようになる、といった「スケールの大きな話」がメインとしてあるなら、それに呼応させるように悩みや葛藤も大きくしなければ霞んでしまう。
 仮に、「小さな悩み」を描くのだとしても、内面描写を詳しく描かなくてはいけない。まどマギのさやか、エヴァンゲリオンのシンジの心情描写は詳しく描かれていたおかげで、観客者の心に肉薄するものがあった。心の闇は、それを観た観客も同じ様に辛く落ち込むようなものにしなくてはいけない。細かく描けなかったのは尺の都合もあったのだろうが。
 
 これは一例だが、
こなつ…「うまく弾かなくてはいけないという強迫観念に支配されて、イップスを発症し、ステージ上で泣き崩れる。(「四月は君の嘘。」の有馬公生のようなパターン)」
あさひ…「父親の指導のせいで、自分らしい生き方を抑圧された父権主義の被害者。自分らしい生き方ができないために、ロボットのように生かされていた。」
あおい…「母親の教育のもと、あらゆることを我慢して勉強に打ち込んでいたが、その勉強の結果を手にしてもまるで充足感は得られず、自暴自棄になっていた。」
などを悩みとして、それを掘り下げていけばよかったのではないか。そうすれば、それなりに見応えのある心の闇ができそうである。本来、ポッピンQは、思春期の少女たちがアイデンティティの確立を目指して葛藤し、それを乗り越える作品だと思っていたのだが、もしそうならば、上記のように、自分のアイデンティティを問う葛藤を抱えているほうが妥当だと考える。

 これまでをまとめると、ポッピンQは、一方で、スケールの大きな話でありながら、他方でそのための悩みが、小さすぎた。このアンバランス感のためか、感情移入しにくかった。

もしも12話編成でやった場合なら、それぞれ一話分を使って、登場人物が、自分の葛藤を乗り越えるストーリーにすればよいと思う。映画の中で、さきといすみは自分の過去を乗り越えたというのがが分かりやすかったが、他の三人は過去を乗り換えたという描写がはっきりとなかったように思う。

 あとは、キャラクターの登場のタイミングとその役割について。
 これも尺の都合で仕方なかったのだろうが、レノの登場のタイミングとそれが果たした役割と演出、黒サキの登場のタイミングとそれが果たした役割については、もう少し工夫してほしかった。
 まず、レノの初登場のタイミングは非常によかった。足だけを映すカットの次に、いすみに接触し、いすみの心を揺さぶる。ここは非常によかった。しかし、次に出てきたときは最終決戦だったのが残念である。結構重要人物なのに。レノが何を企んでいたのかも本編ではほとんど明らかにされなかった。それはきっと続編で書くつもりなのだろうが、第一回ポッピンQでもある程度描いてほしかった。レノはいすみの決断を聴いて、「成長したんだね。」といったようなことを言っていたが、いすみの葛藤シーンがあまり描かれなかったせいで、そこがあまり実感を伴ってわからなかった。レノは何がしたくてあそこに来ていたのだろう…。
 また、黒サキは一応ラスボスだったのだから、もっとはじめから登場させて置くべきだった。要所要所で徐々に姿を見せていくことで観客にこいつがラスボスか…と予感させ、最終決戦前に一度少女たちの前に姿を現して
「あなたたちが何かしようとしても無駄よ。あの子はそれを望んでいないもの…。」
といったような意味深なセリフを呟かせることで、
「誰なんだこいつは…。」
と観客に思わせ、最後の最後で、「未来のさき」だと明らかにされることで、
「ああそうだったのか!」
と観客に伏線回収の喜びを与えるような演出をしてほしかった。


・まとめ
 CGや作画などが非常に素晴らしかった。音楽はもう少し、工夫があればよかったと思う。
 脚本・演出は、もっと深みがほしかった。
 しかし、尺の問題が結構大きいのだろうと感じた。後は対象年齢を下げるために、使ってはいけないモチーフ(親の不倫とか)があったのも大きいかもしれない。
 続編がどうなるのか期待。作ってくれますよね??
 続編を作ってもらえるよう、多くの人に観に行って頂きたい。


おまけ
・題名について
 Qとは何なのか。Pop in Qとは。英語の意味からして「Qの中で弾ける」といったニュアンスなのだろうか…。Qは時計ののメタファーだと考えて、「Q(時間)の中で弾ける(踊る)」とすればそれなりに意味は理解できる。
 それか、「Qにひょっこり現れる」のほうの意味だろうか…。こちらは少し意味がわからないのでなしか。

 本編の最後に、明らかに予告のようなものがあったが、続編があったとして第三部くらいまで続くのだろうか?
第一部「ポッピン序」
第二部「ポッピン破」
第三部「ポッピンQ」
みたいな。ポッピン三部作と世間では呼ばれたりして。