ロロの空想

心に移りゆくよしなしごとを書いていくよ!

会話ができるようになるための会話の分析

 

 巷には、会話についての解説とかが溢れているけれど、どれも似たりよったりで、あまり参考にはならない。
 本当はもっと勉強してから文章化したほうがいいのかもしれない。語用論はちょっと勉強したけど、コミュニケーション学はまだ勉強できてない。

 これは、自分がいかにして人と会話するかを考えた結果生み出した分析的で実践的な理論についての記述である。
 関連の記事は、「コミュニケーション」のタグから探してほしい。

 

会話の軸


 会話でよくある困りごとは「しゃべることがない…」といったことである。なぜ、しゃべることがないのか。逆にしゃべることがあるときと、ないときは何が違うのか。
 それを考えるためには、私達が会話で何を話しているのかを分析するのがよい。
 私は、個人的な分析の結果、会話の内容を、3つの軸を元に分類しようと試みた。
3つの軸とは、時間軸、空間軸、関係軸である。

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必ずしも3軸すべてを使うわけではないが、それぞれについて、近い、遠いを考えると、おおよその会話の内容は、ここに分類することが可能である。
例えば、今、目の前の相手の服や、髪型に対する話題。
今、目の前に見えている建物の話題。
昨日私が食べたカレーについての話題。
一週間前、相手が行った旅行についての話題。
20年前、関西で起こった地震の話題。
といった具合である。これを逆に使えば、いつ、だれが、どこでを、近いのか遠いのかの軸の上で考えると、会話の話題を作り出すことも可能である。

また、それぞれの話題に対して、叙情的(自分が思ったことについて話す)なものと、非叙情的なものがある。
「赤いレオタードを着たおじさんを見た。」は非叙情的な文章であるが、
「赤いレオタードを着ろって言われたら嫌だけど…」は叙情的文章である。

 そういうわけで、基本的に会話は、3つの軸と叙情的な否かで分類することで、話題は生み出しやすくなる。

 とはいえ、これだけを頭に入れても実際に話題を生み出すことは難しい。
 実際に会話を生み出すには、よく使われる会話の型、を頭に入れるとよい。

 

会話の型

 

 エピソード語り
 エピソード語りは、もっとも基本的な会話の型である。しかし、実際には、エピソードの内容にも直近のエピソードから、昔話までさまざまなエピソードがあり、オチをつけるなどしてうまくエピソードを語ることは難しい。
 そして、エピソード語りは主に女性によく使われる。逆にエピソード語りができる男性は少ない。
 また、エピソード語りの内容は、関係性も関与してくる。例えば、「そこの橋から、雪の中ノースリーブで走ってるおじいさん見ましたよ。」といったようなさっきあったことのエピソードは関係が浅い人にもできるが、「私が小学校の頃、レクリエーション係ってのがあったんですけど…」といったような昔話や自分の人物を表すようなエピソードは関係が深い人でないと違和感を感じる。
 初めてあったよく知らない人に、「私の小学校の頃の話なんですけど、」と言うことはあまりない。
 またエピソード語りは、エピソードに対して、「笑う」という反応と、「そういえば、私の場合は、…」といったように、相手もエピソードを話してくれることでより円滑なコミュニケーションが成立する。

 この、相手の反応が会話の進行を左右する例として、例えば、
「昨日珍しく休みだったから洗濯しようと思ったら洗濯機がすごい音出し始めてん。」
「そうなんや。」
「それで、近くのコインランドリーで洗濯しようと思ったら間違えて乾燥してしもた。」
「へー。災難やな。」
「うん。」
と、相手の反応が鈍いとここで会話は終了する。

 もう一つの例として、例えば、 
 「昨日珍しく休みだったから洗濯しようと思ったら洗濯機がすごい音出しはじめて、」
「え(驚いた顔)、壊れたん?」
「壊れ゛て゛ん゛(泣)」
「(爆笑)」
「天寿を全うしてん。大往生やったわ。」
「豪快な最期やな笑」
「やろ。それで、しょうがないからコインランドリー行ってみてんけど、はじめて使うもんやから使い方わからんくてさ、」
「うちも使ったことないわ」
「間違えて洗う前に乾燥してしもた。」
「あほやん(爆笑)あ、でも、うちもアメリカに2週間行ってたとき、…」
以下続く

 といったように、何をしゃべっていても相手が爆笑してくれると話しているほうは、楽しくなって話しつづけることができる。
 また、相手がエピソードを話した後に、自分自身が体験したエピソードを話すというように、
 エピソードを話す→エピソードを聴く→エピソードを話す
と交互にターンを繰り返すとエピソード語りの会話は続いていく。

 知識語り
 他の会話の型の一つとして、知識語りがある。これは、自分が知っていることベースに、それに対して叙情的な感想を付加することで会話が続く。例えば、
「ミ○キーのところって著作権にめっちゃ厳しいらしくて、文化祭とかで使っても訴えられたことあるらしい。」
「まじでか。気をつけないとな。校内の看板とかに使ってもダメなんかな?」
「どうだろ。一般への広報向けのポスターはアウトだと思うけど、校内の看板は黒に近いグレーくらいでセーフかも」
 といった具合である。知識語りはエピソード語りと相互に移行しやすい。

 

 相手について


 他には相手自身について、話すということもある。
 「髪切ったんだ。」
 「うん。昨日切った。」
 「前髪と横、だいぶ切ったね。パーマかけたの?」
 「そうパーマにした。ちょっと遊んでみよかなって思って笑」
 「この前、そういえばだれだっけ、パーマの人見て好きって言ってたもんね。」
 といった具合で、相手のことに関して掘り下げていくような話し方もある。


関係性と会話の内容


 エピソード語りの項でも書いたように、話す内容と関係性は大いに関係があり、適切な内容を選ぶことが大切である。
 簡単にいえば、目の前の、自分か相手に関する、今のことなどは関係が浅くても話しやすい。あるいは逆に、知識語りのように、果てしなく自分たちから遠いことの話でも話やすい。
 しかし、自分や相手に関する昔話なんかは、ある程度仲良くなってからでないと難しい。
 とはいえ、いきなり自分から話をしだすのはおかしくても、相手に「学生のころはどうしてたんですか?」といった感じで、質問して、「あなたの場合は?」と訊き返された時に、自分について話すという手順を踏めば関係を深化できる。


会話の円滑化


 これまた、エピソード語りの項でも書いたが、会話は一人でするものではない。会話の円滑化には、そのための相手の反応が大切である。
 大切なのは、「目を見る。笑う。自分から関連する話を続ける。」である。
 話す前や、話しているときにこちらを向いてくれないというのは、あまり話を聞いてほしくないように感じる。あと、周りをキョロキョロするのも、話が早く終わってほしいのかな、といった感想を相手にもたせる。
 笑うというのは、相手が気持ちよく話すために最も良い方法である。女性のほうが会話が多いのは、女性のほうがよく笑うから、というのもひとつの要因だろう。その分、話が続きやすい。
 もし、誰かと話をして、楽しい人、楽しくない人を考えて振り返ったときに、楽しい人はおそらく何を言っても笑ってくれているという場合が多いだろう。
 そして、自分から関連する話をするというのは、会話を進行する上で大切である。
 会話の相槌は「うん。」「そうなんだ。」くらいに思っている人もいるが、一番大事な返しは、「自分の場合は…」と、自分の話をすることである。
 これによって話が続き、話に深みが出てくる。


男女の会話型


 上で述べてきたことも踏まえて、男女の会話の型について少し述べたい。
 一般に、女性は感情的で共感を求めて、男性は事務的で理詰めなところがあるなんて言われるが、あまりに大ざっぱではある。
 ここで述べるのは違う切り口である。

 あくまに一般的な話ではあるが、女性は、相互にエピソード語りをするのが得意な人が多い。そして、相手の話によく笑う人も多い。
 一方、男性はエピソード的な話が苦手で、相手をいじったり、目の前のことを話しがちな人が多い。しかし、男性は相手が嫌なことをしても、それを面白いネタにして話を続け、関係を維持できる人も多い。
 一方、女性は、相手が嫌なことをした場合にも、黙って受け入れようとする人が多い。相手の嫌なところを面白い話題のタネに昇華するのが苦手な人が多い。そこで、黙って関係を終わらせることがある。

 つまり、何が言いたいかというと、男性同士で「話すことない。何か面白い話して。」というあれは、エピソード語りが苦手だから、起きることである。
 逆に女性同士が女社会と言われてギクシャクするのは、相手の嫌なところを正直に言ってプラスに昇華するのが苦手だからだろうと思う。

 どちらも一長一短である。


 会話は分析することで応用もできると私は考える。
 もっと、色々と書きたいことはあるが、今回はここまでとする。