ロロの空想

心に移りゆくよしなしごとを書いていくよ!

家に帰ったらダラダラしてしまう現象の考察と研究計画

 外ではやる気なのに、家に帰ったらさっきまでのやる気はどこへやらといった現象は誰しも経験したことがあるだろう。
 休日にわざわざ、カフェに出掛けて作業する人が多いのもそういった現象の表れだと捉えられる。

 逆に外に出かけると仕事ができるというのもどうしてなのか、というのは気になるところである。緊張感が出るという人もいるが、ほんとに緊張感だけなのかは私は疑問を感じているところである。

 そのダラダラはどうしたら解決できるか、ということを明らかにするのは、フリーランスをはじめ、休日を有意義に使いたい社会人から家で勉強ができない受験生にまで幅広く活用できる意味のある研究だろうと思う。

 とはいえ、はじめからなぜダラダラしてしまうのか、を考えるのは個人的に難しさを感じた。そこで、発想を転換してみる。家に帰ったらダラダラしてしまうこと自体の研究は、裏を返せば外に出たらやる気になるメカニズムの研究とほぼ等しいと考えて良いのではないか。
 そこで、以下ではとりあえず外でやる気になるメカニズムについて考察してみる。

 外に出るとやる気になるかどうか、というのについて、社会的な理由について仮設を立て、それとは別に生体的な理由について考察してみよう。

外に行くと仕事が捗る社会的理由仮設:
 空間仮説:家の外、という環境に身を置くことで、緊張感がでる。やる気がでるという仮設。
 関係仮説:自分と関係が遠い人がいる、という、他人がいることによる緊張感がやる気を生むという仮設。
 コミュニケーション仮説:他者と話したりして、コミュニケーションを取ることがやる気になることに寄与するという仮設。

 空間、関係、コミュニケーションをそれぞれを別々に調整したRCTをするのが一番簡単かもしれない。例えば、人が誰もいない山に連れいてってやる気になるかどうかを調べれば空間仮設の影響が検証できる。しかしながら、研究デザインとして、被験者を集めるハードルとバイアスの調整なども難しく、また、こういった研究デザインによって答えが出るという期待は薄い。

 外に行くと仕事が捗る生体的仮説:
 脳内神経伝達物質仮説:外部環境に置くことで放出されるドーパミンセロトニンなど、何らかの脳内神経伝達物質の増減がやる気に作用しているという仮設。
 自律神経仮説:交感神経優位による身体反応がやる気を生むという仮設。
 ホルモン仮説:外部環境というストレスによるコルチゾール、あるいは他者と話すことでオキシトシンが放出されるなどなんらかのホルモンによってやる気になるという仮設。
 
 これは、いずれかというよりはいずれもというのが正しそうな気がする。しかし、いずれも検証するにはややハードルが高いものであるという感覚を得た。

 社会的理由仮説、生体的仮説、どちらも検証は難しいが、個人的に、適度な「ストレス」がやる気を生み出しているのではないかという直感的な予想を持った。


 定量的測定について
 生体的仮設を研究するには、なんらかのバイオマーカーがなくては難しい。そこで、取っ掛かりを探るため、先行研究についてCiniiで調べてみた。
 とりあえず、自律神経仮設について検証できる方法はないかということで検索してみた。
すると、
「妊婦が自覚したマイナートラブルと指尖脈波から明らかにした妊娠前期,中期,後期の特徴」

ci.nii.ac.jp


という論文を発見した。
「指尖脈波は,心の外部適応力(元気さ)の指標となる最大リアプノフ指数( LLE: Largest Lyapunov Exponent) と,交感神経と副交感神経の状態から自律神経バランス( Autonomic Nerve Balance)でストレスとリラックスの状態がわかる。」
 という記述がある。どうやら指尖脈波というのが便利らしい。

 指尖脈波についてよくわからなかったのでGoogleで検索したところ、
「指尖容積脈波計測装置による学習活動時のストレス測定と主観評価の関連分析」

www.jstage.jst.go.jp


という論文を発見した。
この論文では、Arduino Unoを用いて測定器を作っている。これなら実に安価に測定器が作れそうである。

 指尖脈波は、自律神経仮説かホルモン仮説かどちらを補強するために使えるかは微妙だが、うまく使えばよさそうである。

 他にバイオマーカーとして結果が出そうな測定方法としては、血液検査、唾液中コルチゾール値測定、脳fMRI、脳波測定なども候補としては考えられたが、侵襲性、簡易性の問題で実用性は低いだろうと判断した。


 指尖脈波測定によるバイオフィードバックへの応用の可能性
 指尖派測定について、細かい技術についてはまだ良くわかっていない。しかし、これは、情緒面をうまく生体的反応として測定するいいツールかもしれないと感じた。
 「なぜ家に帰ったらダラダラしてしまうか」が今回の主題であったが、とりあえず、「今自分はダラダラモードです」というようなことが視覚的にわかれば、多少はダラダラを調節できるのではないかと考えたら。
 指尖脈波測定の機器は他のモダリティに比べれば安価に作れそうであるため、商品化のハードルは比較的低いだろうと思う。
 「自分の身体がダラダラモードである」ということを認知することから始めることが、ダラダラ対策への第一歩なのではないかと感じた。

 今後の展望
 ダラダラに関しては、医学系の研究というよりは、人間科学や心理学の研究に属するような気がする。研究人口も多くはなさそうである。原因の究明とともに、解決手段の発明を目指していくのではないかと私は感じた。